植物との出会い方

「プロの植物写真家だから、あらゆる手段を使って、まだ見ぬ植物を見に行く。」 そう思われるかもしれない。

以前はそうだったかもしれない。それぞれの地域のフィールドに精通している人を頼って、めずらしい植物が自生しているところを案内してもらったりした。

30代くらいの頃だったろうか。それが急にむなしくなったことがある。

何の苦労もなく、案内してもらって、「ハイここですよ」といわれて写真を撮る。それはまさに「仕事」である。

むろん、プロである以上、「仕事」をしなければならないのだが、このルーチンワークが、価値ある仕事かどうか、自分に問いかけ始めた。

アマチュアだったころ、乏しい文献だけの情報で、さんざん歩き回って見つけたあのスミレ。偶然出逢って、新種ではないかと図鑑のページを手繰って調べたあのシロカネソウ。

それぞれの植物との最初の出会いは一度しかない。

私が大切にしなければならないのは、どれだけたくさんの種類の植物写真を持っているかではなく、そんな出会いの質ではないかと思うようになったのである。

見たい植物もあるが、あえて人には聞かず、わずかな情報だけを頼りに、ほっつき歩いてみる。空振りも多いが、その空振り探索行からも、何かしら得るものがある。むしろ、ほんとうに大切なものはそんな時に得られるような気もする。

たとえ、最終的に、人に案内してもらったとしても、自分で探し回ったことのある植物との出会いは、ちょっとちがうものになる。

プロと呼ばれるようになるのは簡単なことではないが、もっと大事なことは、アマチュアであり続けることではないかと思う。

9件のコメント

  1. 深谷 より:

    全く同感です。私も憧れの花やまだ見ぬ花に人一倍強い関心を持っている一人ですが、案内してもらったり、観察会に参加して初めて見る花にときめくこともありますが、それは一瞬であり心に深く感動が刻まれるものではありません。咲いている場所に連れて行ってもらうわけなので見られて当然だし、ともすれば傷んでいらり咲いていなければ残念な思いも出てきます。ところが自分の足で見つけたり出会ったものは深く深く心に刻まれ大きな感動となります。そしてその感動が写真にも反映されていい写真になると思っています。植物への関わり方は人それぞれだしスタンスも違うので何が良くて何がダメということはありませんが、いがりさんの植物に対する想いや接し方から多くのことを学ばせていただいたと感謝しています。ブログの記事を読ませていただいて共感しましたのでコメントさせていただきました。これからも更新されるのを楽しみにしています。

  2. matic より:

    共感ありがとうございます。

  3. sizuku より:

    いがり先生、おこがましいですが思わず投稿したくなりました、わたしも共感です。
    先生がおっしゃるように、わたしも奥多摩や青梅で、いつもほっつき歩いて探しています。
    ネットで調べたり、お聞きすれば教えていただけるのかも知れませんが、少ない情報の中から自分の足と勘を頼りに探し出すのはドキドキするような醍醐味がありますし、何度も足を運びながら見つけた時の喜びは至福時間ですね。
    偶然の出会いもまた、自然界からのご褒美のような気がしています。
    そんなふうにして出逢った巨樹や花たちは、今も鮮明に脳裏に刻まれています。
    旅をせんとや生まれけむ…素敵なタイトルですね。わたしもこどものころから、この川を辿って言ったらどこへいくんだろう?この線路を辿っていったら?なんて歩いて行く、こどもでした。青春の一時期は、ユースホステルを利用して夏の間少しの旅はしましたが、いがり先生のように素晴らしい放浪の旅には出れませんでした。やはり旅は男性の特権でしょうか(^^)長きコメ失礼しました。

  4. matic より:

    ありがとうございます
    これからもほっつき歩き続けましょう(^O^)/

  5. まめ吉 より:

    私は、自分の足で植物を見つけて歩くことは
    なかなか無いですが、
    今年の春、しずくさんに案内してもらって
    初めて見た青梅のハナネコノメを見たときには感激しました。
    しずくさんが「まだ知られていない場所で咲いているのでは?」と
    何度も何度も一人で探して、まだネットにも出ていない
    秘密のハナネコノメの谷に案内していただける
    恩恵にあずかりました。
    有るかどうかも判らずに培った経験からあたりをつけて探すことは
    果てしない冒険であり旅であると思います。

    その恩恵にあずかるほうの身としては
    ネットで下調べや画像検索なんてことをしないようにして
    真っ白な気持ちのまま実物に出会うのが礼儀かな、と思っています。

    同様に、外食して美味しかった料理なども
    ネットでレシピを調べずに
    自分の味覚で分析して再現してみるのが私の趣味です。
    最初からネットでなんでも調べてしまってはもったいないし、
    もう作ったことのある誰かの、成功が約束されている作り方でうまく再現しても
    そこには感激はないと思うのです。

    どんなことでも
    初めての瞬間は一生に一回ですもん、
    発見や失敗を楽しまないともったいないですよね(*^^*)

    1. いがりまさし より:

      なるほど、舌レシピ探索!
      レシピ見たんでは答えを見てドリルやるようなもんかも。

  6. ヤマボウシ より:

    私は仕事がら同じ道の行き来の中で、毎年出会える花を楽しみにしています。やあ、又今年もあなたに会えたのかとつい話しかけてしまいます。色々なところのすばらしい花を見れるのは夢です。どんな環境でも精一杯咲いている姿や不思議に感心しています。道端のゴミ拾いをすると思いがけず何かに出会うのが多いいのです。寄り道大好きで真面目に仕事していないので、うちのお店に来る方ごめ~んなさい。いがりさんの植物をそのまま見つめる姿勢が、きれいどころだけでなく私のようなブスでも花は花と表現してくれているような感じ、勝手な解釈ですがいいです。

    1. いがりまさし より:

      ありがとうございます
      生きるものはすべて美しい。
      そう見えないとすれば
      私たちの美しさを見つける眼が
      足りないのだと思います

  7. 外山いくよ より:

    猪狩正志の世界にはまりそうで、やばいです。仕事と言われるものから、離れた今自分の興味のあるまま、いろいろ覗いていて忙しいのに、こんなに時間を費やしてしまうものに出会ってしまいました。
    私の勝手ですが、新しいことの興味を持つことは、ボケ防止になるといいます。ボケずにまだまだこの世を楽しみたいと思っています。自分ではできないことを、やってくれている気がして、嬉しいです。ますますのご活躍を楽しみにしています

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