シハイスミレ【植物検索・撮れたてドットコム】

シハイスミレ

Viola violacea
スミレ属
ENG=スミレ科 Violaceae
APG=スミレ科 Violaceae

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シハイスミレは,東日本ではやや稀なスミレだが,西日本では非常に個体数が多いスミレ。
乾燥気味の山地の林縁などに生える。とても多形で変種のマキノスミレを含めてさまざまな形のものがある。
花は淡紅紫色 濃紅紫色で側弁は普通無毛。花柱の先はカマキリの頭形にふくらむ。葉は披針形 卵状楕円形で表面は光沢があることもないこともある。裏面は紫色を帯び,普通果実期にも消えない。
ヒナスミレとまちがえやすいが,次の点で見わけられる。
ヒナスミレの葉は先がつまんだようにとがり,基部の湾入も深い。シハイスミレでは先端まで均等に細くなる。ヒナスミレの葉は水平に展開する傾向が強いが,シハイスミレは斜上することが多い。ヒナスミレの自生地は沢に沿った空中湿度の高い林だが,シハイスミレはやや渇き気味の林に多い。ヒナスミレは普通側弁に毛が出るが,シハイスミレはまず無毛。

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いがりまさし作品集


シハイスミレ 2004年4月29日 滋賀県高島郡マキノ町 alt.=658m

【漢字名】紫背菫
【花期】3 5月 【分布】本州・四国・九州 【草丈】足首以下 足首
【環境】山地・低山,森林・林縁


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シハイスミレ 花は紅紫色。濃淡の変化がある(広島県大野町) シハイスミレ 花側面(広島県大野町) シハイスミレ 側弁の内側は無毛で柱頭はカマキリの頭形(広島県大野町) シハイスミレ 葉は披針形から長卵形(高知県横倉山) シハイスミレ 葉裏が紫色を帯びるのが名の由来(島根県平田市) シハイスミレ 柱頭側面。カマキリの頭形(広島県大野町) シハイスミレ 柱頭上面。先端は左右にやや張り出す(広島県大野町)
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シハイスミレ さく果。褐色で斑紋がある(三重県伊勢市)()

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シハイスミレ 落葉樹林の下に群生した群落。西日本では暖温帯から温帯にかけて,幅広い環境に自生する 1992年4月28日 岡山県川上村 alt.=620m


シハイスミレ フイリシハイスミレf.versicolor。葉脈上に白い斑の入るもの。地域的にまとまって見られることが多く,葉の幅も花弁が幅広く,花色の淡いものが多い 1997年4月17日 奈良県明日香村
シハイスミレ ハグロシハイスミレと呼ばれるもの。葉の表面が茶褐色に染まる 1993年4月15日 岐阜県美並村
シハイスミレ 2015年4月17日 岡山県鏡野町

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フォトエッセイ(野の花365日のシハイスミレより)
日本に60種ほどあるスミレの中でもちょっと思うところのあるスミレである。スミレに夢中になり始めた頃にシハイスミレの多い兵庫県に住んでいたこともあり,このスミレの変異には一時興味を持っていろいろなところを訪ね歩いた。残念ながら,「変異が多い」という漠然とした結論しか未だに得られていないが,広範囲にこのスミレを見ている人が誰しも同じように抱く印象である。
「紫背菫 まだらの個々に異なるも 心をひけば 歩みをとどむ」
土屋文明が明日香の芋峠で詠んだ歌だが,この歌をはじめに聞いたときに,わが意を得た思いがした。斑入りのもの,そうでないもの,葉に光沢があるもの,暗緑色のもの,幅が広いもの,細いもの。
この変異の多いスミレに目を留めだすと,一株ごとに確かめなければ気がすまなくなってくる。土屋文明は,宮地数千木と親交が深かった。スミレを材料に染色体の研究をしていた植物学者である。それだけにスミレにはずいぶんと深い関心を持っていたようである。
このことを新聞に書いたところ,朝日新聞社のTさんが,文明の足跡をたどって芋峠を歩いてみよう,と誘ってくださった。
写真はそのとき撮影したものである。この株は斑入りだが,文明の歌どおり,斑のあるものないもの,渾然一体となって花を咲かせていた。

【ひとくちメモ】
和名は紫背菫で,葉の裏が紫色を帯びることによる。学名も紫を意味するviolaceaという形容語がついている。

【見わけ方】
マキノスミレは東日本に生える変種。葉が細長く,葉裏の紫色は薄く,直立気味に展開する。
詳しくはシハイスミレの仲間(会員のみ)へ。

シハイスミレと同じ属の仲間(スミレ属)
タチツボスミレ
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シハイスミレと同じ科の仲間(スミレ科)
掲載種はありません。

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