黄色いスミレの仲間（北海道編）

Yellow Violas in Hokkaido

葉が円形に近い，キバナノコマノツメのグループと，心形のオオバキスミレのグループにわけられる。さらに，オオバキスミレのグループは，一番下の葉が離れてつく狭義のオオバキスミレの仲間と，3枚の葉が輪生するエゾキスミレの仲間にわけられる。そのほか，シソバキスミレ，ジンヨウキスミレ，シレトコスミレの3種は，近縁のものが見当たらない，特殊な種で，分布も限られている。

オオバキスミレ
Viola brevistipulata

フギレオオバキスミレ
Viola brevistipulata var. laciniata

フチゲオオバキスミレ
Viola brevistipulata var. ciliata

エゾキスミレ
Viola brevistipulata ssp. hidakana

ケエゾキスミレ
Viola brevistipulata ssp. hidakana var. yezoana

フギレキスミレ
Viola brevistipulata ssp. hidakana var. incisa

トカチキスミレ
Viola brevistipulata ssp. hidakana var. yezoana

シソバキスミレ
Viola yubariana

ジンヨウキスミレ
Viola alliariaefolia

キバナノコマノツメ
Viola biflora

エゾタカネスミレ
Viola crassa ssp. borealis

シレトコスミレ
Viola kitamiana

花正面

花正面

側面

側面

唇弁が小さく，上弁と側弁は上を向くことはない。唇弁の条は掌状。

唇弁が小さく，上弁と側弁は上を向くことはない。唇弁の条は掌状。

唇弁が小さく，上弁と側弁は上を向くことはない。唇弁の条は掌状。

唇弁が小さく，上弁と側弁は上を向くことはない。唇弁の条は掌状。

唇弁が小さく，上弁と側弁は上を向くことはない。唇弁の条は掌状。

唇弁が小さく，上弁と側弁は上を向くことはない。唇弁の条は掌状。

唇弁が小さく，上弁と側弁は上を向くことはない。唇弁の条は掌状。

唇弁が小さく，上弁と側弁は上を向くことはない。唇弁の条は掌状。

花弁5個はほぼ同じ大きさで，上弁と側弁が上を向くことはない。唇弁の条は格子状になる。

唇弁は比較的大きく，上弁と側弁が上向きになる。唇弁の形態には地域や個体によって変化がある。唇弁の条は掌条。

唇弁は比較的大きく，上弁と側弁が上向きになる。唇弁の条は掌条。

花弁5個はほぼ同じ大きさ。上弁と側弁が上を向くことはない。中心部が黄色の白花。

花の中心

花の中心

側弁の内側と柱頭の両側面に突起毛がある。

側弁の内側と柱頭の両側面に突起毛がある。

側弁の内側と柱頭の両側面に突起毛がある。

側弁の内側と柱頭の両側面に突起毛がある。

側弁の内側と柱頭の両側面に突起毛がある。

側弁の内側と柱頭の両側面に突起毛がある。

側弁の内側と柱頭の両側面に突起毛がある。

側弁の内側と柱頭の両側面に突起毛があるが，側弁の毛は量が少なく，時にまったくないものもある。

側弁の内側，柱頭ともに無毛。柱頭は，オオバキスミレなどと同じようなしゅもく形。

側弁の内側，柱頭ともに無毛。柱頭は，先端がY字状にわかれる。

側弁の内側，柱頭ともに無毛。柱頭は，しゅもく形～ゆるやかなY字形。

側弁の内側には毛があるが，柱頭はまっすぐなこん棒状で突起毛もない。

葉

葉

心形～三角状心形。鋸歯縁。北海道では縁や毛が出るものが多い。

円心形～心形で，縁が不規則に中～深裂する。普通縁に毛が生える。

心形～三角状心形。鋸歯縁。縁には毛がある。

長卵形～披針形。ぶ厚くて光沢がある。裏面は紅紫色を帯びる。無毛。

心形～長三角形。縁に毛が生える。

心形～三角状心形。縁が不規則に浅裂する。縁に毛が生える。

心形～長三角形。無毛だが，エゾキスミレほど厚くなく，裏面は紅紫色を帯びない。

心形。ぶ厚くて光沢が強い。裏面は紅紫色を帯びる。

腎形で，粗いが先が鈍形のやや不規則な鋸歯がある。

腎形～円形。鋸歯は低い。普通毛が生える。光沢はない。

円形～円心形。鋸歯は低い。無毛で光沢はない。根生葉は先端が丸く，茎葉はやや先がとがる。

心形でぶ厚い。無毛。先は必ずとがる。

北海道での分布と生育環境

南西部を中心に北は幌加内付近まで。多雪地の山地帯に多い。

南西部を中心に，増毛山地まで。山地帯の林縁から，高山帯の草地まで。

南西部の主に太平洋側の低山地。落葉樹林下，林縁。

日高山脈の最南部，アポイ岳付近。空知の白鳥山にも記録がある。超塩基性岩の岩場。

日高山地，夕張山地，大雪山。主に亜高山，高山体の林縁，草地。

日高山地，夕張山地。主に亜高山，高山体の林縁，草地。

日高山地，夕張山地？主に超塩基性岩地の，林縁や潅木帯など。

夕張山地。超塩基性岩の礫地。

大雪山，無意根山。高山帯の草地。

全域。亜高山，高山帯の草地，林縁。北部では低地から見られる。

大雪山，夕張山地。高山帯の礫地。

知床半島。高山帯の礫地。

北海道での分布と生育環境

同定のポイント

一番下の茎葉が離れてつくことが，エゾキスミレの仲間と見わける大きなポイント。フチゲオオバキスミレと見わけるには，つぼみが黄色で，根茎を横に引いて群生していることなどがポイントになる。

不規則に中～深裂する葉が大きな特徴。同じように葉が切れこむフギレキスミレは，3枚の葉が輪生するが，本変種は，一番下の葉が離れてつく。ただし，増毛山地などでは両者の中間型があるとの報告もある。

縁に毛が出る点は，オオバキスミレやケエゾキスミレにも見られる特徴。つぼみが紅紫色で，根茎を引かず，一本一本離れて生えることなどがポイントになる。

ぶ厚くて光沢のある葉と最大の特徴。アポイ岳付近の潅木帯にはトカチキスミレも生育するが，両者の中間的なものは見たことがない。

オオバキスミレのグループは，一番下の茎葉が離れてつくが，エゾキスミレのグループは，3枚の茎葉が輪生する。本変種はそのなかで葉の縁などに毛が生えるもの。

ケエゾキスミレの群落の中で，葉が不規則に浅裂するもの。ケエゾキスミレと混生し，中間型も多い。

ケエゾキスミレに似ているが，まったく無毛のもの。エゾキスミレほど，葉はぶ厚くなく，潅木帯や林縁に生える。

オオバキスミレやエゾキスミレに近縁と見られるが，かなり著しい特徴をもった種。葉形は心形で，先が尾状になることも，細長くなることもない。超塩基性岩地特有の種で，葉は光沢がありぶ厚い。側弁内側の毛が少ないか，まったくないことも，オオバキスミレの仲間と一線を画す。

腎形で，粗い鋸歯がある葉，5個の花弁がほぼ同じ大きさで，格子状の条を持つ唇弁などが顕著な特徴。

円形の葉と，条弁，側弁が上を向く花が特徴。エゾタカネスミレに似ているが，全体に繊細で葉には普通毛が生える。

円形の葉と，条弁，側弁が上を向く花が特徴。キバナノコマノツメに似ているが，葉は無毛で全体にがっしりしている。

花の色が特徴的。同じような花色をもつ種は日本にはない。また，果実期には常に先のとがる心形の葉がエゾタカネスミレなどとちがうところ。こん棒状の柱頭も著しい特徴。

同定のポイント

オオバキスミレ
Viola brevistipulata

フギレオオバキスミレ
Viola brevistipulata var. laciniata

フチゲオオバキスミレ
Viola brevistipulata var. ciliata

エゾキスミレ
Viola brevistipulata ssp. hidakana

ケエゾキスミレ
Viola brevistipulata ssp. hidakana var. yezoana

フギレキスミレ
Viola brevistipulata ssp. hidakana var. incisa

トカチキスミレ
Viola brevistipulata ssp. hidakana var. yezoana

シソバキスミレ
Viola yubariana

ジンヨウキスミレ
Viola alliariaefolia

キバナノコマノツメ
Viola biflora

エゾタカネスミレ
Viola crassa ssp. borealis

シレトコスミレ
Viola kitamiana

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