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3月14日[その日の暦]

 
   Fritillaria meleagearis

ナタリーはすまなさそうに言った。
「今日はどうしても大事なビジネスがあってフィールドにつきあえないわ。去年,Viola reichenbacheanaを見たところは地図を書いてあげるから,悪いけどひとりで行ってみて。そこには,きれいなFritellariaも咲いているはずよ。数はあまり多くないけど」
フランス南部トゥールーズでのことである。数日泊めてもらった上に,そのうち2日は300km離れた別のエリアに車で連れて行ってくれて,もちろん私は十分ナタリーとその家族に感謝していた。フランスはヨーロッパの中でも英語が通じにくい国で,フランス語をまったく話せない私にとっては,たどり着けるかどうか不安も多かったが,なんとかバスで現地に行ってみることにした。
現地は,トゥールーズ市の街外れ,小さな川のほとりのグリーンベルトのようなところだった。ナタリーのいうとおりViolaも咲いていたが,このFritillariaも点々と咲いていた。ちょうど,日本の同属の植物,コバイモとクロユリを足して2で割ったような姿である。こんな人家近くにこんな花が残っているのは驚きである。
そのほかにも,ピンクのタネツケバナや先週掲載したLathraea clandestinaなどが,わずかなグリーンベルトに点々と咲いていた。
ナタリーの秘密の花園を堪能した早春の一日だった。

【見わけ方】
ヨーロッパには同じような形のFritillariaが何種類もあるが,フランスの別の友人Marcによると,Fritillaria meleagearisでまちがいないようである。
花被片の間に隙間がなく,上部の葉が互生しているのが特徴だと教えてくれた。

【ひとくちメモ】
Fritillaria属は北半球に約100種ほどが知られている。日本のコバイモの仲間のような丈の低いものは少なく,Fritillaria meleagearisのように膝丈ほどになるものが多い。
2002年3月13日 フランス南部
ペンタックスZ-1P タムロンSP90mmF2.8 f4.5 絞り優先オート フジクローム・プロビア100


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