タネツケバナの仲間（北海道編）

Group Cardamine Hokkaido

個体による変異が激しく、難しいグループだが、羽状複葉の頂小葉と側小葉の形のちがい、葉柄の基部の付属体の有無、茎や長角果の有毛状態に着目する。このほか羽状複葉の小葉が卵形で、ほぼ同じ大きさになるアイヌワサビや葉が3小葉で花が淡紅紫色のミヤウチソウが知られている。道南にはエゾワサビに似ているが個体によって側小葉の大きな羽状複葉を出すものがあるが、これが何にあたるのかは、よくわかっていない。

	タネツケバナ Cardamine flexuosa	オオバタネツケバナ Cardamine scutata	エゾワサビ Cardamine yezoensis	エゾノジャニンジン Cardamine schinziana	ジャニンジン Cardamine impatiens	コンロンソウ Cardamine leucantha	ハナタネツケバナ Cardamine paratensis
複葉								複葉
	羽状複葉。小葉は長楕円形で大きさはほぼ同じ。	頭大羽状複葉。側小葉は全縁。	3小葉～単葉。頂小葉は大きく、円形。	羽状複葉。小葉は切れ込むことが多いが、変異がある。	羽状複葉。小葉は細かく切れ込む。	羽状複葉。小葉は同じ大きさ形で、披針形。先が鋭くとがる。	羽状複葉。小葉は線形で、動物のあばら骨のように見える。
長角果								長角果
	無毛。	無毛。	無毛。	無毛～有毛。	普通無毛。時に有毛のこともある。	無毛。	無毛。
茎と茎葉の基部								茎と茎葉の基部
	普通有毛で付属体はない。	普通無毛で付属体はない。	無毛で付属体はない。	有毛。付属体はない。	無毛～有毛。付属体がある。	無毛。付属体はない。	茎は無毛。付属体はない。
その他のポイント								その他のポイント
					花の数が多く、花柄が密集する。
分布	西南部。人里周辺の湿り気のあるところ。	全道。山地の湿り気のあるところ。	全道。山地の湿り気のあるところ。	日高。山地の流水のほとりなど。	全道。山地の乾いた荒れ地、林縁。	全道。山地、人里、原野の湿り気のあるところ。	道東の湿地。	分布
同定のポイント	全国的には最も普通の種だが、北海道では西南部をのぞいてあまり見かけることがない。オオバタネツケバナとの識別には注意を要するが、越年草で頂小葉が目だって大型にならないことに着目する。	タネツケバナに似ているが、普通ほとんど毛がなく、頂小葉が目だって大きいことで識別できる。上記のように、生育環境も微妙にちがう。また、タネツケバナが越年草であるのにたいして、多年草。しかし、ミズタネツケバナと呼ばれるものを含めて、識別不能と思える個体に出会うこともある。	頂小葉の大きな3小葉～単葉が重要なポイント。	一見、ジャニンジンに似ているが、葉柄の基部に付属体がない点で見わけられる。	細かく切れ込んだ葉、葉柄の基部の付属体、このふたつを確かめれば本種と確定していい。付属体を持つのは、この属ではほかに、マルバコンロンソウとヒロハコンロンソウだけで、いずれも北海道には分布しない。	湿り気のあるところなら、いたるところで見かける。披針形で、同形同大の羽状複葉は似たものがない。	最近まで分布が未確認だった種。花が淡い紅紫色を帯び、小葉は線形で小さい。分布は道東の数ヶ所に限られる。。	同定のポイント
	タネツケバナ Cardamine flexuosa	オオバタネツケバナ Cardamine scutata	エゾワサビ Cardamine yezoensis	エゾノジャニンジン Cardamine schinziana	ジャニンジン Cardamine impatiens	コンロンソウ Cardamine leucantha	ハナタネツケバナ Cardamine paratensis