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ヤマホタルブクロは,山地の林縁や崩壊地に生える多年草。この花に蛍を入れたらさぞ美しいだろう。そんな想像をかきたてられる名前に花である。 ところが名前の由来には,蛍袋と火垂袋の2説がある。「火垂」とは提灯のことだ。どちらが正しいかははっきり決められないが,蛍を見ることが少なくなった現代人としては,かつての自然豊かな里山のイメージを前者の由来に託したくなるところだ。 林縁や崩壊地に生える多年草。 基本種のホタルブクロは萼の付属体が反り返る。ホタルブクロの方が分布はひろいが,中部地方ではヤマホタルブクロのほうをよく見かける。 地域によって白花ばかりの地域もある。 また,高山帯の礫地では,足首ほどの草丈で花を咲かせていることもある。
【カレンダー・草木暦2024】 いがりまさし作品集
ヤマホタルブクロ 2003年7月17日 山梨県東山梨郡大和村 alt.=1277m
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【漢字名】蛍袋,火垂袋
【別名】ホンドホタルブクロ
【花期】5 8月 【分布】本州(東北,関東,中部,近畿) 【草丈】足首 腰 【環境】山地・低山,森林・林縁
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フォトエッセイ(野の花365日のヤマホタルブクロより) |
ホタルが中に入ったらさぞや美しいだろう,と誰しも想像してみたくなる。咲き始める季節もだいたいホタルの出現と一致する。しかし,チョウやハチとちがって,ホタルは花の蜜を吸う昆虫ではない。この花のなかにホタルが入っているとしたらなにかの偶然だろう。 ホタルブクロの「ホタル」は「蛍」ではなく「火垂」すなわちちょうちんのことだとするという説があり,確かにこれも説得力がある。 いずれにしても,涼しげで愛らしく,そして日本の山野になじむどこか郷愁を帯びたたたずまい。日本の夏にふさわしい名花といえば,まずホタルブクロが筆頭にくるのではないだろうか。
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【見わけ方】 萼裂片の間に反りかえりがあればホタルブクロ,なければヤマホタルブクロ。花の色は,どちらも白〜濃紅紫色まで変化がある。
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