トリカブトの仲間（本州以西低山地編）

Group Aconitum in West Japan

本州以西の低山地を主体に生えるトリカブトの仲間。花柄の有毛状態や葉の切れこみがポイントになるが、変異が複雑で難しい。同じ地域に分布するのは、多くの場合2-3種なので、分布域も重要なポイントになる。このほか、主なものでは、ヤマトリカブト群で関東地方に多く、葉が3全裂するツクバトリカブトがなどがある。

	ヤマトリカブト Aconitum japonicum	オクトリカブト Aconitum japonicum ssp. subcuneatum	タンナトリカブト Aconitum japonicum ssp. napiforme	イヤリトリカブト Aconitum japonicum ssp. maritimum var. iyariense	サンヨウブシ Aconitum sanyoense	カワチブシ Aconitum grosse-dentatum	ハナカズラ Aconitum ciliare
葉								葉
	5-7中～深裂。全体のシルエットは5角形。中央の裂片の一番幅広いところは中央か、それより基部に近い。（卵状披針形）	5-7中裂。全体のシルエットは丸味がある。中央の裂片の一番幅が広いところは中央より先端に近い。（倒卵状披針形）	3全裂。	3深裂し、側裂片はさらに深裂。	5-7中裂。	3深裂～3全裂。	3深裂し、側裂片はさらに深裂。
花柄								花柄
	屈毛。	屈毛。	屈毛。	屈毛。	無毛で光沢がある。	無毛で光沢がある。	屈毛。
花弁								花弁
	舷部がふくらむものが普通。	舷部がふくらむものが普通。	舷部は距に向かって細くなるものが多いが、ふくらむものもある。	舷部がふくらむものが普通。	舷部は距に向かって細くなる。この点がカワチブシとの大きなちがい。	舷部がふくらむ点がサンヨウブシとちがう点。	舷部がふくらむものが普通。
雄しべ								雄しべ
	有毛。	有毛。	普通無毛といわれるが、この個体は有毛。	有毛。	普通無毛、わずかに散毛が見られることもある。	無毛、または有毛。	無毛。
分布域	関東、中部の大平洋よりの山地。	北海道西南部～関東北部、北陸北部までの低山地。	近畿以西の本州。四国、九州。	長野県北部特産。	関東北部（ジョウシュウトリカブトといわれる型）～中国、四国まで。低山から亜高山まで垂直分布は広い。	関東～四国まで。主に、大平洋よりの山地。	九州特産。非常に稀。	分布域
同定のポイント	ヤマトリカブト群。関東から中部地方の低山で、花柄に屈毛のあるものに出会ったら、本種である可能性が高い。オクトリカブトとは、葉の形がちがうが、違いは微妙。直立型のハコネトリカブトといわれる型もある。イヌハコネトリカブトは、本種に似て、花柄に開出毛が出るものだが、分類群としてのまとまりをもたない雑種ではないかと推定されている。同じような分布域に、ツクバトリカブトも見られるが、こちらは葉が3全裂と深く裂ける。	ヤマトリカブト群。北海道南部から東北の分布域では、最も普通に見られる種。この地域に低山帯に見られるものでは、花柄の屈毛が生えるのはまず本種と思ってよい。関東の北部には、ツクバトリカブトも見られるが、こちらは葉が3全裂する。	ヤマトリカブト群。西日本で普通に見られる種。西日本で出会う花柄に屈毛が生える種は、まず本種と思っていい。近畿～中国には、葉の切れこみが浅いイブキトリカブトも見られるが稀。	ヤマトリカブト群、ツクバトリカブトの変種。長野県の北部に特産するのが、まずポイントになる。湿地に生え、枝を長く伸ばすのが特徴。	花柄が無毛のものは、本種か次のカワチブシのどちらか。葉の切れこみが浅く、花弁の舷部が距に向かって細くなるのが特徴。	花柄が無毛のものは、本種か、前のサンヨウブシのどちらか。葉の切れこみが深く、花弁の舷部がふくらむのが特徴。	茎がつる状になるトリカブトは、日本では本種だけ。	同定のポイント
	ヤマトリカブト Aconitum japonicum	オクトリカブト Aconitum japonicum ssp. subcuneatum	タンナトリカブト Aconitum japonicum ssp. napiforme	イヤリトリカブト Aconitum japonicum ssp. maritimum var. iyariense	サンヨウブシ Aconitum sanyoense	カワチブシ Aconitum grosse-dentatum	ハナカズラ Aconitum ciliare