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3月1日[その日の暦]

 
   ユキツバキ (ツバキ科) Camellia japonica var. decumbens

雪国は冬の寒さが厳しいと思いがちだが,植物にとっては意外にそうでもないようだ。氷の張らない温暖な地方は別として,新潟や山形へ行くと常緑の植物が目立つのには驚く。
雪の下というのは温度が0度前後にして一定で乾燥することもなく,いわば冷蔵庫のチルド室のようなものである。この条件が冬の間に葉を広げておくのに都合がいいのだろう。もちろん,雪が融ければすぐに光合成をはじめられるメリットも大きい。
ユキツバキは基準変種のヤブツバキに比べると地面を這うように生長するが,これは雪の重みでそうなることに加えて,雪の中に埋もれるためとも考えることができないだろうか。
エゾユズリハやハイイヌガヤなど,雪国の常緑樹の多くは,同じように匍匐性が強く,積雪にすっぽり埋まってしまうような形で生長する。

【見わけ方】
ユキツバキは豪雪地帯だけに生える。基準変種はヤブツバキ。幹が地面を這うように伸びることのほか,花弁がヤブツバキに比べてよく開くのも特徴。中間的なものもあり,ユキバタツバキと呼ばれる。

【ひとくちメモ】
ユキツバキは東北から北陸地方に分布するが,日本海要素と呼ばれる多雪地帯に限って分布する代表的な種である。「ユキツバキを指標とした植物分布」(1996石澤)は,日本海要素の植物100種の分布をユキツバキの分布と重ねて図示したユニークな著作。
2003年4月26日 新潟県北魚沼郡
キャノンEOS-1Ds シグマ24-70mmF2.8 f5.66 絞り優先オート(+ 0.5)  1/ 31秒 ISO200 MWB sRGB


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